2009-03-25

時間があれば話そうと思っていたこと

シリコンバレー・カンファレンスの起業パネルで、時間があれば話そうと思って個人的に考えていたことをもう少し。


「日本より起業しやすい環境」について

シリコンバレーでは起業に必要な色々な制度や仕組みが整っていることは確かだが、一番大きな要素はそこにいる「人」のマインドセットの問題だと思う。ここに住む人は、ここがイノベーションを生み出す土地であるということが体に染み入っていて、起業に対してポジティブ。ここにるVCやエンジェル投資家も起業経験者が多く、起業が大学のMBAコースで教わるような美しいビジネスプランでどうにかなるものではないことを熟知していて、起業の泥臭いところをわかって投資している。いわゆる文系出身の僕がシリコンバレーに惹かれるのは、「人」の問題だからかも知れない。

ここでは有限責任が明確であり日本では曖昧というのは、「日本人は議論が苦手」という話と似ている。日本では、起業した創業者が仕事の全責任を人生を賭けて負うことを期待され、銀行融資を使う場合は「事業を成功させる気概をお持ちなら個人保証できるでしょう」と代表者の個人保証を求められる。失敗した時は「失敗するような人間だった」「そういう人はもう起業しない方がいい」と人格を否定される。「日本的」なディスカッションにおいても、「その意見は反対。そんな意見を言うあなたは信用できない。他の意見も聞きたくない」と、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという状況になりがち。論理の問題と人格の問題を分離できない。「仕事は仕事として精一杯頑張るが、それによって人生全てを背負いこむわけではない」という割り切りが、起業する側にも投資する側にも共有されているところがシリコンバレーの良さの一つ。失敗は財産とみなされる。


人材について

優秀な人の絶対数は確かに多いが、会社数も多いから奪い合いになるし給料も高い。ただ、方法論を知っているプロのフリーランスの人が多いというのはかなり効く。エンジニアレベルでもそう。そういう人は、プロジェクトを渡り歩きながら効率的な仕事を行っていき、そういう人を通じて方法論がスタートアップにも伝播しやすい。また、フリーランスや正社員を問わず、スタートアップ経験者が多い。「2年先はどうなるか分からないけど一緒に頑張りましょう」と呼びかければリスクを理解しながら面白がってjoinしてくる人が結構な数でいる。どうせ正社員でも一般的に2~4年くらいで転職していくのが普通だから、それくらい持ちそうならスタートアップでやってみるかという意識も生まれやすいと思う。


起業しようかなと思っている人へのメッセージ

壇上の三人の経歴を見ると特別な経験をしてきていて(海外経験が長いとかMBA持ってるとか)、ご自分には関係ないなと思うかも知れない。しかし、同じような経歴を持っていても「シリコンバレーに来て起業」とはならない人もまた多い。要はこの三人のような人は、自分の意思による選択を通じて自分のバックグラウンドに意味づけをしてきたのであり、今やっていることは結果的に過去の経歴から自動的に一本の線に導かれてきたかのように見えるだけである。大事なのは自分の意思で選択を行い、行動すること。「少し背伸びかな」と思う程度の大きめの選択を人生で二~三回すれば人生の意味づけがだいぶ変わるはず。いきなりドーンは無理だから、「ちょっとの背伸び」を繋いでいくのが大事。

2009-03-24

シリコンバレー・カンファレンスで講演

3月21日のJTPA主催によるシリコンバレー・カンファレンスにて「シリコンバレーで起業しよう!」というタイトルのパネルディスカッションにモデレーターとして参加した。他のパネリストはオープン・インターフェース・ノースアメリカ社を創業し見事クアルコム社に売却した佐川明美さんと、あのセコイア・キャピタルから出資を受け現在SNS業界で急成長しているロックユー社のチーフアーキテクトの石塚亮さん。

解雇の問題などちょっと生々しいトピックも扱いながら、起業の泥臭いところを含めた面白いパネルにすることができたと思う。楽しいディスカッションにできたのはお二人のおかげ。佐川さんと石塚さんに感謝します。

パネルディスカッションの内容は無理やりまとめると大体以下のような感じ。

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1. 起業に適したシリコンバレーの環境

VCや各種の専門家やコンサルタントが揃い、起業に必要なサポートが供給されている。エンジニアなどの人材の層が厚い。財務担当(CFO)などの職種でもスタートアップ環境での専門家としてのポジションが確立されていて、複数スタートアップのCFOを兼務したりする人もいる。有限責任が確立していて、資本リスクと経営リスクが明確に区別されている。敗者復活がある。ベンチャー企業を買収する大企業の存在。効率化された買収プロセス。IPO(株式公開)は今難しいが、こういう環境ではM&A(企業買収)によってExitすることにも十分に現実性がある。

2. 採用の難しさ

本当に有能な人材だけを採るというのは難しい。現実的には急成長していく会社に合わせて人をどんどん採用していかないと追いつかない。その意味では本当の問題は会社の期待する仕事にうまくマッチしなかった場合にスムーズに解雇なりの手段を採れるかどうか(カリフォルニア州では「アット・ウィル雇用」が法の前提で、理由無し解雇や理由無し退職が会社側からも社員側からも可能となっている)。こういう問題に関しても専門家のコンサルタントがいるのでそういうサービスを使ってもいい。

3. 起業にあたって大事なこと

意思決定のスピードと実行力。失敗した時に人のせいにしないこと。
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僕自身はWebやモバイル、デジタルミュージックという今までやってきた分野での「ビジネスとして見た時の行き詰まり感」みたいなのを感じていて、むしろ個人として楽しむ側に回ろうということで起業から離れて好きなこと(セミプロミュージシャン)をやっている身である。しかし、お二人のお話を色々聞かせてもらって楽しませていただくだけのつもりが、さらにエネルギーをたくさんいただいてしまった。またぼちぼち何か始めたいような?いや、音楽で何かやるかな・・。

2009-03-14

少し前進・・・かな?

最近ベースを弾くのが楽しい。

いや、前から楽しかったんだけど、最近はもうちょっと楽器が弾けるようになってきた気がする。

なんでだろう、と考えてみたら、ネットで演奏を公開するようになってから意識が少し変わったのかも知れない。

前は、その場にいる何十人かのお客さんに向けて演奏していたものが、「公開すれば少なくとも何百人、もしかしたら何千人かは見てくれる」という意識に変わっただけで、演奏の一つ一つが丁寧になり、「伝わる音を出そう」という意識になった気がする。公開することでフィードバックももらえるから、それも活かせる。

僕が自分で「こういう演奏はマニアックすぎるかな」と思うような演奏が、案外いいフィードバックをもらえたり、その逆も同じで、受け狙いで誰でも知ってるような曲を分かりやすくやっても案外受けない。総じて、ジャズファンの人はやっぱりちゃんといい音を聴いているんだなという気がする。こういうのを肌で実感できると、さらに次のレベルに自分を持っていきたいという活力にもなる。

あと、自分の演奏をネットで公開すると、ネット上の他人の演奏にも意識が向く。で、これがまた、みんないい演奏してるのだ。こうなると、若い頃に思ってたような「オレはアイツよりうまい」みたいな安っぽい競争意識がなくなっていく。他人の演奏を色々見ていると、最初は「あ、チクショー、これカッコいいな。やられた。。こういう感じで自分もやったら受けるかな」とか考えるんだけど、だんだんきりがなくなってくる。みんなそれぞれ、自分の音楽を追究しているからこそカッコいいのだ。それに振り回される必要はないし、意味もない。それを実感すると「結局は自分がどうやりたいのか」が一番大事だというところに戻ってこれる。

これを繰り返していったら、もっともっと前進していける気がする。そのうちYoshi'sにも出演できるようなレベルまでは行きたい。頑張ろう。

2009-03-04

The Chicken



またまた間が空いてしまいました。2月3日のライブからもう1曲、「チキン」です。フレットレスのエレキベースで新境地を開拓した天才ベーシストのジャコ・パストリアスの演奏で有名ですが、今回はその雰囲気だけ借用しつつ、ウッドベースでの抑え目のグルーヴです。

最初のこの曲を聴いたのは、ジャコのビッグバンドの日本公演を収録してレコードにした「ツインズ」というアルバムでした。当時在籍していた学生ビッグバンドでも何回か演奏しましたが、ジャズの譜面にしては珍しくジャコが「ツインズ」の公演で弾いたベースラインをすべて採譜して書き込んであったので、それを弾いているうちにジャコ・フレーズを覚えていきました。おそらく、バンドの古い先輩が研究のために採譜しておいてくれたのでしょう。感謝。

ジャコは後期にニューヨークでギタートリオで演奏していた頃の録音がシリーズでCD化されていて、そこでもこの曲が演奏されていました。ものすごくルーズでオープンな感じがまた良くって、僕もビッグバンドとは別に学園祭の時の企画バンドとしてジャコのバンドをイメージしたギタートリオを演奏したものです。んー、懐かしい。

こういうジャコものをやると、エレキベースが弾きたくなりますね。そういえばYouTubeにアップしているのってウッドベースばっかりだな。そのうちエレキも弾いてみたいと思いますのでお楽しみ(!?)に。